今週、『新出生前診断、拡大へ』というニュースがでました。
『新出生前診断』というのは、
妊婦の血液検査で、胎児の染色体異常を調べる検査です。
『NIPT』とも呼ばれます。
この検査で調べられるのは、
・ 21トリソミー(ダウン症)
・ 18トリソミー
・ 13トリソミー
の3つのみです。
この検査は、2013年から日本でも行われるようになりましたが、
これまでは、臨床研究として実施施設を限定していて、
妊婦の年齢が35歳以上、など、条件を決めていました。
ですが、無認定のクリニックなどが、カウンセリングなしで検査を行う、
といった事態が相次いだため、
逆に、日本産科婦人科学会として実施を認める施設を増やそう、
という方針にしたようです。
NIPTで、“陽性(染色体異常あり)”との結果だった妊婦の9割以上は、
人工妊娠中絶を選択しています。
そんなこともあって、一部には、
NIPTに対して否定的な意見の人たちもいます。
ダウン症の子たちも世界中で活躍しているんだ!
といって、命の選別をするのはよくない!
という主張です。
それももちろん一理あるのですが、
育てるのはその人たちではなく、
赤ちゃんのパパママです。
それに、元気なダウン症の子たちばかりではなく、
重篤な合併症があってなかなか退院できなかったり、
長く生きられない子もいます。
元気な子を産みたい、
というのは誰しもがもつ希望だと思います。
子どもの立場からすれば、
できることなら元気に産まれたい、と誰しも思うでしょう。
リスクを事前に知る検査があって、
それを受ける権利があるのであれば、
検査を受けるかどうか、結果を受けてどうするかは、
それぞれに選択権があります。
ちなみに、この検査は20万円前後します。
かなり高額な検査です。
それでも受ける人たちというのは、
それなりの覚悟があって検査を受けるのだと思います。
一方で、たとえどんなに重い病気があっても、
たとえどんなに短い時間であっても、
自分に宿った命を、精一杯育てたい、という人もいます。
どっちがいいとか、どっちが悪いとかではなく、
思想の違いだと思うのです。
それぞれに権利があることなのだから、
落としどころのない問題だと思います。
なので、この問題については、
どっちが正しいと議論する意義はないのではないでしょうか。
それぞれが検査の意味を正しく理解して、
検査をするかどうか、結果をうけてどうするか、
を、夫婦でよく話し合うことに尽きると思います。
ただ、すべての出生前診断を肯定しているわけでありません。
NIPTは、あくまで、先天性疾患(病気)の有無を調べる検査です。
それも、かなり重篤な状態になりうる疾患なので、
産んでから、親にも子ども本人にもかなり負担がかかりうる、
ということで、検査の意義はあるでしょう。
技術的には性別を出生前に知ることも可能な時代ですが、
性別次第で産むかどうかの選択をするというのは個人的には容認できません。
ちょっと話が脱線してしまいましたが、
今回の、NIPT認定施設を増やそうという方針転換はいいと思います。
厳しく規制したところで、闇で検査する無責任な病院が増えるだけで、
それは患者さんの利益にはなりません。
それだけニーズがあるものなのだから、規制するのは無理です。
いかに正しい情報を提供しながら安心して検査を受けられる体制にするか、
と方向転換するのが現実的な判断ですよね。
まぁ、検討をはじめる、、ということなので、
実際に変わるのがいつになるのか分かりませんが。
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