2018年2月6日火曜日

HPVワクチン接種再開へ向けて!

こんにちは、HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)の接種推奨再開へ向けて、なんとかしていきたいと日々悶々と思案しているうなぎいぬです。

23日に開催された、日本産科婦人科学会主催の『市民とともに日本における子宮頸がん予防(HPV)ワクチンの今後を考えるというシンポジウムに参加してきました。

学会は、『HPVワクチン接種の早期の勧奨再開を強く求める声明』を厚労省にひっそりと提出したりする程度で、さして大きなアクションを起こしていません。
対外的にはこれまでにないイベントで、しかも、一般の人、医療関係者だけでなく、マスコミも参加可、とあったので、

これが真っ当に取り上げられれば、時流を変えるきっかけになるかも!

とけっこう期待して参加してきました。

しかも、プログラムの中に、
HPVワクチンの報道 問題点と課題』(毎日新聞社 小島正美)という、
ものすごく気になるセッションがありました。

産婦人科医からすると、かなり偏った報道をしていると思わざるをえないマスコミの当事者が、学会主催の会でどんな話をしてくれるのか、とても楽しみでした。

で、実際面白い話が聞けたかというと、、
結構、新聞記者さんの本音がきけた気がします。しかも予想外の本音。
それだけでも参加した甲斐がありました。

とりあえず、会全体の話を要約すると、、

  会全体の印象

残念ながら、ただの現状確認で、今日のこの会では何も世の中は変わらないな、という印象でした。

せっかく『市民とともに』とタイトルにつけているのだし、
厚労省へ声明までだしているのだから、
『ワクチン接種勧奨再開へ向けて学会は一丸となります!!』的な、
熱い感じをだせばインパクトもあろうかと思うのですが、
世論を気にするとあまり派手なことはできないんですかね。

やっぱり医者って真面目というか、プロモーションは不器用なんやなぁ、
と思ってしまいます。

  各プログラムの内容

   子宮頸がん予防とHPVワクチンについて(横浜市立大学 宮城先生)

一般の方への配慮としてのおさらい的内容で、
わりと噛み砕いた説明でした。

   がん患者、啓発団体の立場から(シンクパール 難波さん)

子宮頸がんで円錐切除術をうけた経験談や、
啓発団体としての活動の話。

   先進国のHPVワクチンプログラムとその効果(北大 ハンリー先生)

スコットランドで、HPVワクチンプログラムが成功している話。
すばらしい!の一言。参考になることがたくさん。
聞いてて、日本はなにやってるんだろうなぁと恥ずかしくなりました。

   HPVワクチン接種後の多彩な症状を呈する患者さんを診察して(阪大疼痛医学 柴田先生)

HPVワクチン接種の有無関係なく、同じような症状を訴える患者さんはいて、ただ、その治療、対応が確立していない、という話。

   子宮頸がんワクチンの安全性評価に関する疫学研究(阪大環境医学 喜多村先生)
   HPVワクチンの有効性に関する報告(5人の先生の発表)

正直、⑤と⑥は、HPVに関する学会発表、という感じで、
似たり寄ったりの内容を、それぞれが短時間で早口で話すくらいなら、
誰かが1人まとめて話せば十分なのに、、という印象。

   HPVワクチンの報道 問題点と課題(毎日新聞 小島さん)

これが一番興味深かったので、ちょっと詳しく↓

  新聞記者が語る、HPVワクチン報道

詳しく書きたいのは山々ですが、長くなるので、まとめると、

  記者自身も、新聞、テレビへの信頼度が低い、と悩んでいる。
  副反応問題がでた2013年からHPVワクチンに対してネガティブな報道が5倍に増え、信州大学池田氏の発表あたりから、社内でもHPVワクチンの記事が書きづらい雰囲気に。

  記者はまず被害者、弱者の立場で書く習性がある。
  池田氏は副学長だったし説得力があったから信じてしまった。新聞記者がたった1人のジャーナリスト(ジョン・マドックス賞受賞の村中氏)に負けたのは悔しい。

  マスコミは、問題提起はうまいが、最後までフォローしない。方向転換できない。
  市民団体から抗議書はくるけれど、専門家からは何も反応がない。ある時、「こういう記事を書くから、感想の手紙を送ってくれ」と事前に専門家たちに頼んでおき、専門家から肯定する内容の手紙が20通届いたら、デスクが喜んだ。

  新聞はだれに遠慮して自粛しているのか!
  ディアのメディア、ファクトチェックサイトがあればいいな。


と、笑いをとりながらかなり赤裸々に語って下さいました。

真っ正面からとらえると、

まじかよ、そんなに世論に遠慮して報道しているのか!
なんてマスコミは骨抜きなんだ!
毎日診療や研究で忙しいのに、いちいち記事の感想を送っていられるか!

と憤りたくなるのですが、
真面目論をいっても仕方なくて、

要は、そんなメディアを上手く利用しているのが市民団体なんですよね。
医者は、そこらへんが不器用なんです。ほんとに。

いちいち手紙書いてもいいですけど、、
それよりも、なんか、もっとマスコミとちゃんとコミュニケーションとったらいいんじゃないんでしょうか。

メディアだって、世論は気にしつつも、嘘を報道するつもりはないわけですし、

「偏向報道しやがって!」みたいな感じではなく、

事実とエビデンスを携えて、ちゃんと対話して、
学会が、そして多くの学会員が、抗議書に負けない数で後押しします、

と、メディアといい関係を築ければいいのになぁと思います。

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