2月3日開催の『市民とともに日本における子宮頸がん予防(HPV)ワクチンの今後を考える』という公開講座には、メディアも参加していて、TBSはじめいくつかのニュースサイトでは『子宮頸がんワクチン、産科婦人科学会が有効性を紹介』と報道してくれていました。
ちゃんと報道して下さりありがとうございます!
20代で子宮頸がんを発症し子宮全摘を受けて、妊娠出産を断念した患者さんが、ワクチン接種の大切さを訴える。
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接種率が下がっている現状、「ワクチンはうたせない」と話す母親
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ワクチン接種後に、激しい痛みなどで一時は寝たきりになった患者さん
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HPV専門家の日大の川名教授が「ワクチンのメリット・デメリットを
わかりやすく説明するべき」と指摘
という流れで、一応、両方の立場の患者さんも登場しているし、
できれば産婦人科医としては接種勧奨してほしいけれど、
抗議が予想される内容は放送しないでしょうから、
まぁあたりさわりない内容で専門家の意見をまとめられたのも致し方ないか、
と、あまりかたよりのない内容ではあったけど、インパクトはないなー、
くらいに思っていたら、
医療関係者じゃない旦那さんは、
「今の聞いたら、接種したらあぶない、うたない方がいいって聞こえたよ」
と。
たしかに、ちょっと気にはなっていたのですが、放送の中ででてきた数字が、
●ワクチンを打つことで、10万人あたり209人の死亡を防ぐ
● 接種後、3130人に痛みなどの症状がでた(10万人あたり92.1人)
これをきいて、どう思いますか?
自分は医者なので、ついついちゃんと、
割合、つまり何人あたりなのか、絶対数なのかを意識してみますが、
一般の人からしたら、数字だけが頭に入ってくると思うんです。
しかも、3130人というのは、全ての副反応疑いの数であって、
そのうち重篤と判断されたのは1784人(10万人あたり52.5人)で、
しかも、これには、「接種後に短時間で回復した失神」も含まれているのです。
「失神より軽い症状まで含めた副反応」が
あたかも全て重篤な副反応かのようになっていて、
しかも、こちらについては絶対数を前面にだしてくる、という、
すごい作為的な報道でした。
そもそも、
「子宮頸がんによる死亡」と「失神より軽い症状まで含めた副反応」
を比べてることがおかしいのですが。
だいたい、厚労省が「うつかどうかよく考えて」と言ってるというのは、
一般の人からしたら、「うたない方がいいみたい」ととらえますよね。
せっかくHPVワクチンが取り上げられたのに、やっぱり残念な内容でした。。
そして、旦那さんの感想を聞かなかったら気づかなかった一般の人の捉え方と、
医者の感覚とが、やっぱり乖離していることを反省。。
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