2017年9月15日金曜日

妊娠できるか知りたい

こんにちは、うなぎいぬです。

婦人科外来をしていると、

『妊娠できるかどうか知りたいです』

という質問を時々されます。

その意図は、
『別に今すぐ妊娠したいわけではないし、
不妊てゆうわけでもないんですが、
(まだ結婚もしていないんですけど)
自分が妊娠できる体なのかどうかを知りたいです』

ということで、
既に妊娠を試みているけど妊娠しない、とかではなく、
漠然と、"自分の体は妊娠できるのか" を知りたいのです。

最近『不妊治療』が何かと話題になっていますから、
"自分は大丈夫かしら"と不安になる気持ちも分かります。

ですから、冒頭の質問をしてしまうのも理解できます。

ですが、残念ながら、この質問には即答できないのです。

別にヤブ医者だから答えられないわけではなく、
どんなスーパードクターでも、神の手でも、答えられません。

なぜかというと…

1.不妊の原因はさまざま

不妊の原因があるかどうかを検査で調べれば分かるでしょ、
と思われると思うのですが、
話はそう単純ではないのです。

まず、不妊の原因と一言で言っても、
・排卵していない
・卵管が詰まっている
・着床しにくい
・卵巣機能が低下している
などなど、可能性はたくさんあって、
実際に不妊で病院に来られる患者さんには、
これらの原因があるかどうかを調べるために、
順番にたくさんの検査を行っていきます。

それでも何も原因が見つからないこともあります。

また、子宮内にせり出す粘膜下筋腫や内膜ポリープが
着床しにくい原因となりうることもありますが、
それがあったからといって、必ずしも妊娠しにくいとは限らないのです。
それらがあっても、すぐに妊娠する人はしますし。

つまり、不妊の原因になりうる症状があるか否かを調べること自体が、
検査の数も多いですし、時間もお金もかかる上に、
何か見つかっても、そのせいで本当に妊娠できないかどうかはケースバイケースで、
試してみないと分からないのです。

強いて言うなら、
・排卵していない
・両側の卵管が詰まっている
という場合には、自然妊娠はできず、何らかの治療が必要になります。

排卵しているかどうかは、基礎体温をつければだいたい分かります。
卵管が詰まっていないかどうかは、『子宮卵管造影検査』を受けないとわかりません。

実際に不妊症というわけでもなければ、
そこまでする必要はないと思います…。

2.今は大丈夫でも、将来は分からない

仮に、できうる検査をぜーんぶして、何も問題がないとしても、
将来いざ妊娠しようと思った時に、
今と同じ体の状態とは限りません。

体の状態は常に変化します。

なので、具体的に妊娠の計画が出てくるまでは、
できることとしては、心身ともに健康で過ごしていて下さい。
それが一番です。

3.男性が不妊の原因になることもある

不妊症には、『男性不妊』もあります。
たとえ、あなたの体に全く異常がなくても、
男性側の"精子"が少なかったり、動きが悪かったりで、
妊娠しにくい、ということもあり得ます。

4.相性の問題もある

性格の相性ではありません。

不妊の原因として、
精子と女性側の粘液の相性が悪い、ということが時々あります。

つまり、3と4から言えることは、
相手が未定では、不妊の可能性を知ることはできないのです。


要は、
妊娠できるかどうかを前もって知ることはできない
ということなのですが、

1つだけ確かなことは、
"どんな女性でも、高齢になればなるほど妊娠しにくくなる" ということ。

これだけはぜひ覚えておいて下さい!

0 件のコメント:

コメントを投稿

男性用ピル!?

精子の運動率を可逆的に抑制する成分の、マウスでの研究結果が発表されました。 Inhibition of sperm motility in male macaques with EP055, a potential non-hormonal male contrace...