2018年5月1日火曜日

『避妊』のことをちゃんと教えようとした足立区がすばらしい件

産婦人科医として、望まぬ妊娠のために学校通えなくなってしまう中高生たちをみるたびに、なんとかして性教育を改善したいと思いながら、
『性交渉』という言葉すら使ってはいけない『学習指導要領』の壁があって難しいよな、、と悶々としているのですが、
そんなしがらみをはねのけて、しかるべき性教育を行った足立区はすばらしいです。

『高校生になればセックスをしてもよい』と思うか、
というアンケートをしたというのは、個人的にはナンセンスと思いますが、
(そんなのいつからOKなんて誰も決められないので、、)
避妊方法や緊急避妊薬についてちゃんと教えたというのは、
ほんまにすばらしい。

東京都教育委員会が、
『かえって性交を助長する可能性がある』
といちゃもんをつけているのは、全く現実を把握していないご意見で、

・そもそも現実的に、性交渉に年齢制限はつけられない
・ちゃんとした知識がないまま性交渉するから望まない妊娠がなくならない
で、
心配するのは『助長すること』ではなくて、
昔から今に至るまでなくならない『望まない妊娠』という不幸をいかになくすか、
ということなんです。

『区教委によると、アンケートでは、授業前には5割近くの生徒が「合意すれば、高校生になればセックスをしてもよい」と答えたが、授業後には半減したクラスもあったといい、「一定の成果」だとしている。』
というのは、指摘に対する単なるexcuseだと思いますが、
べつに『セックスをしてはいけない』と答えさせることが目的ではないでしょう。

性交渉は万引きと違って犯罪ではないのだから、
『してはいけない』と教えるのではなく、
・したら妊娠する可能性がある
・避妊がなぜ必要か、どう避妊するか
・いざという時に緊急避妊薬がある
ということをちゃんと教えるべきです。
あわせて命の尊さも教えられれば完璧です。

でも、教師の中で『緊急避妊薬』のことを知っているのはたった23%。
ちなみに教師でない人で『緊急避妊薬』のことを知っているのは17%。
私も医者でなかったら知らなかったかもです。

日本の性教育が長年旧態依然のままだったせいで、
日本人全体の知識が乏しいということです。
予防できる病気と同じく、望まぬ妊娠も、知識があるだけで防げるんです。
防げる不幸に人生振り回されるだなんてほんまもったいない。。

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